NHKで再放送されたドラマ「坂の上の雲」を見ながら、短期間で国民国家を形成した日本人の霊性について考えた。歴史学者の所功氏によると、その始まりは崇神(すじん)天皇時代の天津神(あまつかみ)と国津神(くにつかみ)の習合で、家族国家としての国の形が作られ ...
信長は改革者ではない、と著者は指摘する。中世的秩序を温存した人物との評価だ。彼の致命的な欠陥は、部下が信長に対して抱く不満に全く気付かない点だ。本能寺の変は、織田家というブラック企業の必然、という指摘は興味深い。
ケンブリッジ大学英文科教授で登山家の著者が主題としているのは、この感性の系譜だ。副題は「山への情熱の歴史」。この系譜は著者にも受け継がれて、歴史を語ることは自分の登山体験を語ることでもある。
田山花袋(たやまかたい)の代表作の一つ『田舎教師』の冒頭である。文学趣味を持ち向学心にも富みながら、結核を患い田舎の代用教員として短い生を終えた青年が主人公。日露戦争の時代を背景に関東平野の自然や風物を丹念に描きながら、主人公(林清三)の哀切な人生を ...
本に長年住む韓国人の知人が帰国してレンタカーを予約したところ日本人と間違われた。韓国人なら乗りたい車種を真っ先に指定する。自分の核心的な要求を前面に出すが、日本人は「この日の車は空いていますか」といった問い合わせから始まるという。
アルゼンチンでは保守政策を進めるミレイ大統領が、通貨の切り下げ、公共事業の削減などを通じてインフレ抑制、均衡財政の実現に成功しているが、一方で、貧困層の拡大や年金額の実質的な目減りに対する不満の声も上がっている。
昭和レトロがブームとなる中、昭和を知らない若い世代の間で昭和歌謡が人気というのは面白い現象だ。ユーチューブなどで昭和の歌謡曲を改めて聴いてみて、いろいろな意味で「聴かせる」歌が多いと思う。個性と実力を備えた歌手が多く、歌の多くはその歌手のために作られ ...
分離したのは、新青森行きはやぶさ(10両)と秋田行きのこまち(7両)。東京駅を出発し、上野駅を出て時速約60㌔で走行中に分離した。このトラブルの影響で、東北、上越、北陸各新幹線は約3時間にわたって全線で運転を見合わせ、計111本が運休、166本が最大 ...
「杉並の袋小路で子供らがかくれんぼする/築地の格子戸の前で盛塩が溶けてゆく/東京は読み捨てられた漫画の一頁だ」とは、昨年11月に亡くなった詩人の谷川俊太郎さんの「東京抒情」の冒頭部分(郷原宏選著『ふと口ずさみたくなる日本の名詩』ハルキ文庫)。
ロシアの思想家ゲルツェン(1812~70年)一家が、祖国ロシアを後にしたのは1847年1月。3月下旬にはフランスのパリに着き、モスクワ時代の旧友たちと再会した。その後、イタリアを旅して翌年パリに戻ったが、臨時政府によって民衆が弾圧される「六月事件」を ...
石碑に刻まれた文字/道祖神のいる風景 道祖神は村などの境界線に当たる道のそばに建てられた石碑で、「道祖神」という文字や像を刻んである。 集落に侵入する外からの疫病や悪霊を防ぐ民俗的な意味を持つものだが、そのことは忘れられているといっていいかもしれない ...
昭和30年代ごろまで、秋田県内で広く見られた「わらの文化」の保存活動に取り組んでいる自治体がある。秋田県南部の美郷町(みさとちょう)だ。3月1日、第7回「わらの文化交流の集い」(同町教育委員会主催)が美郷町住民活動センターで開かれ、道祖神とわら文化の ...